兼語文とは:人に何かを「させる、するように言う」という使役表現は兼語構造になっていて、中国語では兼語文と呼びます。
使役動詞は「让」,「叫」,「使」,「请」,「派」などが使われます。
兼語構造について:
例:妈妈 让 我 买 东西→兼語文
S V O
S V O
↓
兼語
兼語文は動詞述語文の一種であり、二つの動詞(前文→使役動詞、後文→動詞)から構成され、前文の「SVO」の目的語「O-我」が後文「SVO」では主語「S-我」に当たります。一つの単語が二つの役割を兼ねることからこの単語「我」を兼語いい、このようは文章を「兼語文」と呼びます。
兼語文と使役表現:
【基本文型】肯定文/否定文/疑問文
让
叫
主語+使+目的語/主語+動詞+他の要素(AがBに~をさせる。)
(させる側) (使役の対象者) (させる行為)
老师 让 我 写 作业。(先生は私に宿題をするように言った)
他 叫 我 查 一些资料。(彼は私に資料を調べるように言った)
妈妈 不让 孩子 玩 游戏。(お母さんは子供にゲームを遊ばせない)
爸爸 没让 孩子 留学。 (お父さんは子供に留学をさせない)
上司 让 你们 加班吗? (上司はあなた達に残業をさせますか)
上司 让不让 你们 加班? (上司はあなた達に残業をさせますか)
※否定形「不/没」は使役マーク[让,叫,使]の前に置いて、させてくれない/させてくれなかった、を表す。
※反復疑問文は使役マークを「肯定+否定」の形にする。
※「使」は上記の文では使えない。
心理活動を表すー「使」の表現:
【基本文型】否定文
让
叫
主語A+ 使+目的語/主語B+副詞+心理動詞/形容詞(A→B心理的変化をもたらせる。)
(原因となる事) (影響を受ける側) (させる行為)
这部电影使 我 很 感动。(この映画は私を感動させた)
他的话 使 我 很 生气。(彼の話は私を怒らせた)
这个消息 让 我 非常 高兴。(このお知らせは私を喜ばせた)
他的举动 叫 我 太 伤心了。(彼の行動は私を悲しませた)
※「使」の後には「高兴,生气,感动,羡慕,担心」など、非動作的な動詞ー
心理動詞や形容詞のみがつく。Aが原因で/AによってBをどのような気持ちまたは心理的な変化にさせるという意味を表す。
※「让,叫」も「使」と同じく使える。
「请」を用いる兼語文:
主語+请+目的語/主語+動詞+他の要素(人に~してもらう、~していただく。)
我们 请 来访客人 说 几句话。(私達はお客様に少し話すようお願いした)
我们 请 老板 唱 一首歌。(私達は社長に一曲歌うようお願いした)
他 请 我 吃 饭。 (彼は私にごちそうしてくれた)
我 没请 他 参加 我的生日派对。(私は彼を誕生日会に誘わなかった)
※兼語の前に「请」をおくと、丁寧にお願いする表現になる。ここでは「させる」という意味より、「何かをお願いする、していただく」という依頼の意味を表す。
「有」を用いる兼語文:
使役動詞以外に、使役の意味を持たない「有」で構成される兼語文が存在します。
この種の兼語文は文頭に主語がなく、動詞「有」で始まり、「有」の後の目的語が後ろの動詞の主語となっています。また、兼語を表す人や事物は不特定であることを表します。
(時間)有+目的語/主語+動詞+他の要素 (誰かが~をする。)
刚才 有 人 来 找过你。 (先程,誰かがあなたを訪ねた)
昨天 有 人 给你 打电话了。(昨日,誰かがあなたに電話をした)
今天 没有 人 来。 (今日,誰もきてません)
「命令」を用いる兼語文:
「人に命令して~をさせる」という表現で、命令を表す「命令」,「派-派遣して行かせる」,「要求-求めて~させる」,「劝-勧めて~させる」などが命令使役マーカとして使われます。
命令
要求
劝
主語+派+目的語/主語+動詞+他の要素(AがBに~をするように命令する。)
老板 命令 大家 马上回 家。 (社長は皆に早く帰るよう、命令した)
上司 要求 大家 穿 工作服。(上司は皆に作業服を着用するよう命じた)
她 劝 我 去 医院看看。(彼女は私に、病院に行くことを勧めた)公司 派 他 去 北京工作。(会社は彼を北京で働くよう派遣した)
兼語文の特殊文型:
愛憎を表す動詞(心理動詞)「喜欢,讨厌,羡慕,欣赏,佩服,原谅,恨,嫌」
などが兼語文の前の動詞として用います。
例:
→老板喜欢他能干。 (社長は、彼の仕事ができるところが好きだ)
→她讨厌我喜欢抽烟。 (彼女は、私がたばこを吸うところが嫌いだ)
→我羡慕她聪明。 (私が彼女の賢いところが羨ましい)
→我欣赏他为人正直。 (私は彼のまっすぐで正直なところが気に入っている)
→我恨他欺骗了我。 (私は彼が私を騙したことを憎んでいる)
→我原谅他没有告诉我实情。(私は彼が私に本当の事を言わなかったことを許した)
→上司嫌他工作能力差。 (上司は彼が仕事ができないことに対して不満だ)