受身文は「AがBに~された/られた」を表す表現で、前置詞「被、让,叫,给」が使われます。また、これらの前置詞が文面上にない「意味上の受身文」が存在します。
受身の前置詞を用いる受身文:
【基本文型】肯定文
主語+被+行為者+動詞+他の要素
(受け手) 让 (動作主)
叫
给
我 被 老师 批评了一顿。(私は先生に厳しく叱られた。)
我 让 妈妈 表扬了。 (私はお母さんに褒められた。)
他 叫 坏人 打伤了。 (彼は悪い人に殴られ,怪我した。)
窗户 给 风 吹开了。 (窓は風で開けられてしまった。)
※受身文は基本どれも使えるが、「叫,给、让」は話し言葉でよく用いられる。
※受身文は既に実現した出来事について、行為者が与えた結果や変化をどのような形で受け手に影響されたかということを述べる文です。従って動詞だけでは文は成立しないので、後ろに必ず何らかの成分が付く。
動詞の後ろに付く(結果や変化を示す)成分:
・アスペクト助詞「了/过/着」 ・補語「結果補語/方向補語」 ・助数詞
【基本文型】否定文
主語+没被+行為者+動詞+他の要素
蛋糕 没被 小王 吃 完。 (ケーキは王さんに食べられた。)
蛋糕 没被 小王 吃, 被小李吃了。(ケーキは王さんではなく、李さんに食べられた。)
※受身文はで「被,让,叫,给」の前に「没」を用いる。
※受身文は動詞で終わらないが、後ろに文が続く場合、動詞で終わらせることができる。
主語+不+助動詞+被+行為者+動詞+他の要素
我 不 想 被 他 打扰。 (私は彼に邪魔されたくない。)
我 不 会 被 他 骗的。 (私は彼に騙されない。)
※「不」で否定する場合、「不想被/不会被/不能被」(~されたくない、されないでだろう、されてはいけない)など、間に助数詞を入れ、完了文ではなく、未来文を作る。従って、動詞の後ろに結果を表す他の要素を付けなくても良い。
「被」の後の行為者の省略
主語+被+動詞+他の要素
书 被 借 走了。 (本は貸しました。)
钱包 被 偷 走了。 (財布が盗まれました。)
※動作主がはっきりしない場合や、特に示す必要がない場合、「被」の後の行為者を省き、「被」と動詞を直接繋ぐことができる。
「被、让,叫」...「给」~
主語+ 被+行為者+給+動詞+他の要素
自行车 被 他 给 弄 丢了。(自転車は彼によってなくしてしまった。)
衣服 让 孩子 给 弄 脏了。(服は子供によって汚れてしまった。)
杯子 叫 他 给 打 碎了。(コップは彼によって割れてしまった。)
※受身を表す「被,让,叫,给」と呼応して、動詞の前にもう一つ受け身を表す「给」が使われる場合がある。「~しまった」という残念な結果を表すことが多い。
※「叫~给」「让~给」の形では「受け身」だけを表し、「使役-させる」の意味は表しません。
受身の前置詞を用いない[意味上の受身文]について:
主語が動作・行為に及ぶ対象(動作の受け手)であるとき、受身を表す前置詞
「被,让,叫,给」を用いなくても、受け身を表す文になります。主語は一般的事物で、特定のものです。
主語+(副詞)動詞+他の要素
衣服 洗 干净了。 (服がきれいに洗濯されました。)
饭 已经 做 好了。 (食事の準備がもうできました。)
电脑 已经 修 好了。 (パソコンが既に直されました。)
报告 写 完了。 (レポートが完成されました。)
※中国ではこのように、受け身を表す前置詞のない「意味上の受身文」が普通に
使われる。日本語でも「服をもう洗い終わった」と表現し、「服を私によって洗い終わった」のように、わざわざ行為者を入れて言わない。この点、中日のニュアンスがとても似ている。
他の例文:
→苹果被弟弟吃了一半。 (リンゴは弟に半分食べられた。)
→我的电脑让他弄坏了。 (私のパソコンが彼によって壊された。)
→我的电脑让他修好了。 (私のパソコンが彼によって直された。)
→我会叫上司派到北京去吗? (私は会社から北京に派遣されるのだろうか。)
→我不会被他打败的。 (私は絶対に彼に打ち負かされない。)
→我从来没被老师表扬/批评过。(私は先生に褒められた/叱られたことがない。)
→东西卖完了。 (商品は全部売り切った。)
→照片没有洗好。 (写真はまだ現像されてない。)
→那个楼三年前已经建好了。 (あのビルはすでに三年前に建てられた。)