動詞述語文の基本語順であるSVOと「把」構文であるS把OV、みなさんは普段どちらを使ったらいいか、迷っていませんか。確かに意味はほぼ同じですが、何を強調したいか、動作により生じた変化の有無によって、使い方は変わってきます。
「把」構文:「処置文」とも呼ばれ、ある事物に働きかけ、主にその事物に何らかの結果や変化を生じさせる時に用いられます。その他、(~してしまった)起きて欲しくない、残念なことになってしまったということを表すニュアンスもあります。「把」は「~を」という意味で、後にあった目的語を前に導く働きがあります。
※目的語は特定のものでなければなりません;話し相手も既知の物の場合が多い。
※話題の目的語を強調するニュアンスがある。
語順の変化:基本語順:svo→「把」構文:s把ov。
基本語順との比較:
【基本語順】:
S+ V + O
我吃了蛋糕。(私はケーキを食べた。)
【把構文の文型】:
S+把O+ V+(他の要素)
我 把蛋糕 吃 完了。(私はそのケーキを食べきった。)
※「把」により、後にあった目的語「蛋糕」が前に移動し「把」の直後において強調する気持ちを表す。
※「蛋糕」は相手も知っている、特定されている「そのケーキ」、また目的語である「蛋糕」を強調。
※動詞で終わらせるのではなく、必ず他の成分がつく。
※結果/変化→存在していたケーキが存在しなくなった。
よく使われる他の要素:
動詞+アスペクト助詞(了/过など);動詞+結果補語/方向補語/様態補語(完/好/坏・来/去・得很好など);
動詞+助数詞(了两张/了两遍など);動詞+重ね方(AA/A-A);動詞+動量詞(一下); 動詞+目的語
「把構文の例」:
我把她弄哭过。 動詞→結果補語 私は彼女を泣かしたことがある。 (状態の変化)
我把作业写完了。 動詞→結果補語 私は宿題をやり終えた。 (宿題自体は変化なし)
我把行李准备好了。 動詞→結果補語 私は荷物をちゃんと準備しておいた。(状態の変化)
我把电脑弄坏了。 動詞→結果補語 私はパソコンを壊した。 (状態の変化)
她把孩子养大了。 動詞→結果補語 彼女は子供を育てた。 (子供~大人までの変化)
他把书带来了。 動詞→方向補語 彼は本を持ってきた。 (位置の変化)
他把电脑修理得很好。動詞→様態補語 彼はパソコンをうまく修理できた。(状態の変化)
我把资料打印了两份。動詞→助数詞 私は資料を二部印刷した。 (新しく作りだす)
我把运动场跑了两圈。動詞→助数詞 私は運動場を二回走り回った。(運動場自体は変化なし)
请把桌子擦擦。 動詞→動詞の重ね 机の上をちょっと拭いてください。(状態の変化)
请把名字写一下。 動詞→動量詞 名前を書いてください。 (名前に変化なし)
请把这件事告诉小张。 動詞→目的語 この件を王さんに伝えてください。(この件の変化なし)
※我把运动场跑了两圈→「把」の目的語が表す場所で動作を行う。
その他:
「在~」「成~」「给~」
例:
他把书放在桌子上了。 彼は本を机の上に置いた。
请把这个句子翻译成中文。 この文章を中国語に訳してください。
我把信寄给我的朋友了。 私は手紙を友達に送った。
【把構文の否定形】
主語+没(有)+把+目的語+動詞+(他の要素)
他 没 有 把 蛋糕 吃 完。(彼はそのケーキを全部食べ切らなかった。)
※否定形は「没有」を使う。「没有」は、述語動詞の前ではなく、「把」の前に置く。
※否定の場合、「不」は使わない。「不」は以下の場合で使う。
主語+不+把+目的語+動詞+(他の要素)
你 不 把 蛋糕 吃 完、就不能出去玩儿。(もしあなたがそのケーキを食べきらなけ れば、遊ぶことはできない。)
※上記のように、「不」は仮定(もし~しなければ);または助動詞「想、要、愿意、打算,应该」;
能願動詞「能、可以」に限って用いることができる。
例:
我不想把这本小说看完 。 私はこの小説を見終わらせたくない。
我不打算把他带走。 私は彼を連れていくつもりはない。
你不应该把那件事忘掉。 あなたはあの件を忘れるべきではない。
一个星期之内,我不能把这部小说看完。 一週間以内に、私はこの小説を読み終えることができない。
※時間詞、副詞は必ず「把」の前に置く。
例:
请你们明天把运动鞋带来。 みなさん明日、運動靴を持ってきてください。
他经常把有意思的事情说给我听。 彼はしょっちゅう面白いことを私に話してくれる。